食品マーケティングの現場では、手のひらに乗るミニ野菜や小分けした食材など、「使い切り」をうたい文句とした商品が続々と登場しており、“標準世帯向け”の概念は変わりつつあるようだ。
種苗大手のタキイ種苗(京都市)は、1玉で2〜3人分となるミニカボチャ「ほっこり姫」を昨年11月から販売している。スーパーでは、半分や4分の1にカットしてラップでくるんだカボチャが当たり前のように売られているが、カットすると鮮度は落ちるし見た目も味気ない。しかし、ミニカボチャなら1回で使い切れるだけでなく、丸ごと直接電子レンジにかけたり、料理の器代わりにグラタンや肉料理を盛り付けたりできることもあり人気を集めている。ミニカボチャ以外にも大根や玉葱と、ミニ野菜の開発は相次いでいる。
弁当や雑誌などの例外を除き、食料品から雑貨まで一律99円(税込104円)で販売する「SHOP99」(運営会社:株式会社九九プラス,東京都)では、小分け適量の使い切りパックの食材が好評だ。いくら安いといっても、スーパーで販売されている大量にパックされた食材では、単身者や小家族は一度で使いきれない。残りは冷蔵庫でひからびて、結局ごみ箱行きになってしまう。しかし、99円で販売される同店の豚肉の細切れは1〜2人前の料理に最適の分量だ。少量サイズというと単身者向けと思われがちだが、主婦や高齢者の利用も多いという。
ただ、すべての食材が使い切りになる訳ではない。SHOP99ではコメを小分けにして99円で販売したことがある。しかし、コメは頻繁に買いたくない、との声が多かったため、今は量を多くして別料金で販売している。
少子高齢化を反映し、鮮度重視で割高だが使い勝手のいい小型・少量の食品の人気は今後も続くだろう。しかし、すべて、小型・少量で良いというわけではない。購買心理や行動を見極めた上での“適量”が、今後の食品マーケティングの鍵を握るといえる。
富士通総研 田中秀樹
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