物余りの時代には、新規顧客を増やすより、既存顧客のロイヤルティを高めてリピート購買を狙う方が効率的だ。ロイヤルティ向上というと、車やバイクなどの高額商品だけが対象と思われがちだが、スーパーやコンビニで販売されるような食品ジャンルでも、工夫次第で可能になる。
■低価格の食品でもロイヤルティ向上は可能
可愛いキャラクターの「ピンキーモンキー」が付いた、タブレット菓子「 PINKY 」で有名なフレンテ・インターナショナルは、顧客向けの Web サイト「フレンテスパイラル」を開設している。サイト上には、キャラクターの壁紙やゲームのほか、メルマガ、ブログ、掲示板といったコミュニケーションの仕組みが用意されている。メルマガは、富士通総研が以前行ったメルマガ人気調査で上位にランキングされるほど好評で、数十万人が読んでいる。また、スタッフが記事を書くブログでは、「こんな商品がほしい」というアイディアを募集しており、コメント欄には数多くの読者のアイディアが書き込まれている。
同社は、この人気の秘訣をキャラクターの魅力とプレゼントキャンペーン、そして 1 対 1 のコミュニケーションを大事にする姿勢が組み合わさったものと分析している。そもそも、「フレンテスパイラル」という名称は、お客様とフレンテの関係が螺旋を描いて広がっていくように、との思いから付けられたものだ。この狙い通り、顧客とのコミュニケーションがロイヤルティを向上させ、多数のファンを生み出しているようだ。
インスタントコーヒーの「ネスカフェ」などを製造・販売するネスレは、主婦を中心に約 170 万世帯が登録するメンバー組織「トゥギャザー・ネスレ」を運営している。メンバーには、定期的に無料でブックレットを郵送して情報提供することに加え、フリーダイヤルやネットの掲示板などを使ったコミュニケーションを積極的に行っている。フリーダイヤルの平均会話時間は 6 分と長く、コミュニケーションを通じて絆を強める努力をしている。
この結果、商品の要望を聞く「キットカットお助け隊」ではアンケートの回答率が 99.7 %に達し、通常商品と比べ価格が5倍のメンバー限定商品「ネスカフェ フランジール」がよく売れるなどロイヤルティは高く、メンバー組織は、ロイヤルユーザーの維持とネスレの他製品のクロスセリングに効果を上げているという。
■お客様の声を聞く姿勢が重要
フレンテ・インターナショナルとネスレに共通することは、単に商品紹介のメルマガを送るといったような一方的な情報発信だけでなく、積極的にコミュニケーションし、顧客の声を聞こうという姿勢だ。
ネスレでは、オペレータ宛にメンバーから写真や年賀状が届くこともあるという。自分の近況を知らせたくなるまでにロイヤルティが高まれば、他のブランドにスイッチしにくくなるだけでなく、友人などへのクチコミも期待できるだろう。
メンバー組織を作らなくても、キャンペーンや問合せ対応などの中で顧客のロイヤルティを向上させる方法は色々とある。食品マーケティングにおいてもロイヤルティ向上を意識して欲しい。
( 2005 年 3 月 富士通総研 田中秀樹)
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