消費者の半数は、食料品を買う際に“ブランド”を品質の良さの目安として重視している、というデータがある。「関あじ・関さば」は今や高級ブランド魚の代名詞となっているが、こうした成功例に刺激され、生鮮ブランドの確立に力を入れる産地が増えてきた。
■アジとサバが2匹で 8,000 円
「関あじ・関さば」とは、 大分県 漁業共同組合佐賀関支店の組合員が、一本釣りで釣ったマアジやマサバのことだ。料理店では高級魚として珍重され、市場でも別格扱いで、普通のアジならスーパーで1匹 100 円程度のところを、インターネット通販では関あじ、関さば1匹ずつの2匹セットが約 8,000 円で販売されるほどの高級品になっている。
このような生鮮ブランドの人気を、スーパーや通販業者が集客の武器にする動きが広がっている。既に知名度がある生鮮ブランドを扱うのは当然だが、他では扱っていない商品を販売することで、他社との差別化を狙う企業もある。
食品ネット販売のオイシックスは、「はくれい」という新品種のカブを「ピーチかぶ」とネーミングして販売している。桃のようにジューシーで、ほんのりとした甘みを持つことから名付けられたもので、畑の片隅で実験的に育てられていたのを同社のバイヤーが発見して取り扱い始めた。 2003 年秋に販売を開始すると即座に注文が集まり、 2004 年には受注件数が初年度の6倍の 7,000 件に達する人気商品となった。
■名前を付けただけでは生鮮ブランドは創れない
消費者は、価格から品質を判断する傾向があり、値段が高いとそれだけで品質も良いと考えられやすい。生鮮ブランド人気は、そんな消費者心理が背景にあるものだが、だからといってブランド化すれば全てが上手く行く訳ではない。
宮城県 古川農業試験場が開発し、全農 宮城県 本部が 1995 年から発売した、減農薬栽培のササニシキ「ささろまん」は、通常のササニシキとの差別化を狙ってわざわざ別ブランドにしたものだ。しかし、消費者に特徴を伝えることが出来ず、ササニシキとは違うコメと思われて販売は伸びなかった。
単にネーミングするだけではブランドは構築できない。ネーミングから始まり、生産管理、物流管理、販路開拓、広告宣伝、そして消費者に響くウンチクなど、総合的な取り組みが必要になる。「関あじ・関さば」も、漁場の良さだけでなく、一本釣りや手作業で活けじめをするなど流通に気を配る漁民達の努力があったからこそ、今のようなブランドが構築できたのだ。差別化できる生鮮ブランドのかげには、地道な努力の積み重ねがある。
( 2005年5月 富士通総研 田中秀樹)
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