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キーワード&データから解く 〜食品マーケティングの成功法則

第3回 「 “天候デリバティブ”でリスクをコントロール

真夏日の過去最多記録を更新、 12 月としては観測史上初めての夏日を関東で記録するなど、今年は天候変動が目に付く1年だった。猛暑効果で売上を伸ばす食品がある一方で、客足を落とした飲食店もあった。食品業界では天候による売上変動の影響を考慮しないわけにはいかなくなってきたようだ。


■猛暑効果で清涼飲料の販売増加

今年の猛暑で涼を求める人々がプールや海水浴場に殺到した。大型遊園地「としまえん」の7月の入園者数は前年同月の2倍を超えた。人気は屋外にある大型プールで、利用者数は同 3.3 倍に達した。食品関連では、前年の5割増を記録したビアガーデンや、大きいサイズのアイスドリンクを注文する人が増えたドトールコーヒーの売上が4%増えるなど、外食や清涼飲料が好調だった。また、これと関連して缶飲料のケース用の段ボールも需要が急増し、段ボールメーカーは過去最高の売上を記録した。

反面、猛暑がマイナスに働いたのが温浴施設だ。お台場にある「大江戸温泉物語」では、7月の入場者数が前年同月比3割減となった。暑い日にわざわざ熱い風呂に入って汗を流したい、という人は少数派だろう。当然、熱い食品にも影響が出る。ラーメンは気温 30 度を超えると売上高が2割落ち込むと言われているし、崎陽軒のシューマイもこの夏は売上が落ちている。

■異常気象で天候デリバティブの販売急増

このような天候変動の影響をただ受け入れるのではなく、売上高減少のリスクを金融商品で回避しようという企業が増えてきた。猛暑や冷夏などの気象条件の変動によって損失を被った場合に補償金を受け取る「天候デリバティブ」だ。従来は電力会社やガス会社などの大企業向けのオーダーメイド商品が主流だったが、小口の定型商品が販売され最近は中小企業にも利用が広がっている。

アイスクリームや乳製品などを販売する利八屋は、冷夏による損失に備える天候デリバティブを契約した。内容は、7月 20 日から8月 20 日までの 32 日間に、最高気温が 30.0 ℃未満、または、降水量が5o以上あった日が、 12 日を上回った場合に補償金を受け取れるというものだ。アイスクリームは冷夏や多雨による売上減少が大きい。特に影響の大きい夏休みシーズンの売上変動を補償する目的で同社は天候デリバティブを利用することにした。

利八屋以外にも、飲料メーカーの台風による影響補償や、食品メーカーの天候不順時の野菜高騰対策などに天候デリバティブは利用されており、損害保険各社の販売件数は2倍近く増えている。てるてる坊主や神頼みで手をこまぬく時代は終わり、天候変動のリスクを最小限にコントロールする時代が来たようだ。

( 2004 年 12 月 富士通総研 田中秀樹)
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