売上が低迷している時、対象顧客を広げようと、新商品を投入したり、取扱品目数を増やして売上を伸ばそうと考える企業は多いだろう。しかし、流通の現場では販売品目を絞り込んで効果を上げている例もある。
■ファーストフードやGMSが販売品目を削減
モスフードサービスは、高品質な商品やサービスを提供するモスバーガーの新業態、通称「緑モス」の一部店舗で、販売品目を絞り込む実験を昨年から始めた。通常は約 90 種類ある商品の中から、既存のモスバーガー(「赤モス」)でも販売している定番のハンバーガーやホットドッグ類の1割弱を減らし、メニュー表を簡素化。高級ハンバーガーの「匠味」や緑モス専用の高付加価値商品の販売に力を入れた。先行してテストを開始した東京の国立店では、 1 日 2 万 5 千円程度だった緑モス専用商品の売上が 8 万円へと 3 倍以上に伸び、店舗全体の売上も 2 割程度増えたという。
品揃えが特徴のGMSでも品目数削減の動きが出てきた。流通大手のイオンは、既存店売上減少の対策として、GMS「ジャスコ」の取扱品目を2月末までに大幅に絞り込むことを発表した。衣料品や住居関連用品は 30 %削減。食品は加工食品を中心に 15 %削減して現在 7 万の品目数を 5 万強にする。品目数を削減してできたスペースには、地元で人気が高い酒や野菜などの重点販売品目を中心に陳列し、一品目あたりの販売額を引き上げて収益改善を目指す。 ■効率化だけではない絞り込みの効果
売れ筋商品に絞って品目数を減らすと、在庫管理の手間が削減でき、商品の回転率も上がるので効率化が図れる。加えて、絞り込んで余裕ができたスペースや労働力を使えば、同一商品の大量展示やデモンストレーションが可能になるので、重点商品の売上を伸ばすという効果も期待できる。重点商品の売上が伸びる背景には消費者の心理的傾向もある。書店やレンタルビデオ店で、大量に展示してある商品を思わず手を伸ばした経験のある人は少なくないだろう。人には、大量にあるだけで人気商品と勘違いして購入してしまう傾向がある。売上が低迷している時は、品目数を増やしてより多くのニーズに対応しようする前に、品目数を絞り込んで、重点商品の販売に力を入れることを考えてはどうだろうか。
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