2004 年に発売されたサントリーの緑茶「伊右衛門」は、発売早々から大ヒット商品となった。京都の老舗の緑茶会社と開発したこだわりの品質と物語性のあるテレビ CM に加えて、それら商品全体の雰囲気を見事に演出した竹筒型のオリジナルのボトルも大ヒットの要因の一つだ。「伊右衛門」に限らず、食品のパッケージがヒットにつながるケースが増えてきた。
■ターゲットのニーズを見極めて商品パッケージを選択
キリンビバレッジの「 FIRE ホワイトコーヒー」は、缶コーヒーで一般的なプルタブではなく、回して開け閉めするキャップ形式の容器に入っている。この商品は、女性が気軽に飲める缶コーヒーを狙ったものだ。開発にあたり、女性が缶コーヒーを飲まない理由を調査したところ、「爪が気になるので缶のプルタブは嫌」、「飲み切る時、あごを上げる形になるのが恥ずかしい」といった容器に関する不満があることを発見した。そこで、手で回して開け閉めでき飲み口が広いキャップの容器を採用し、白を基調としたパッケージを前面に押し出したマーケティングを行った。この結果、通常2割といわれる女性の購買比率が、ホワイトコーヒーでは4割に達し、当初販売計画を2割上回る人気商品となった。
ターゲットのニーズに合わせてパッケージを変えたところ、ヒット商品になったケースもある。森永乳業は、宅配ルート専門商品の「毎朝爽快」と「もろみ黒酢」のパッケージを 2003 年から変更した。それまで使われていた一般的な角型の紙パックに対し、「手に取って飲む時に側面が押されて中身がこぼれる」という苦情が寄せられていた。宅配ルートで販売されるため、紙パックに慣れていない高齢者の購入が多く、容器の使い勝手が不満になっていたようだ。そこで、強く持たなければ中身が飛び出さない「カートカン」 ( 金属缶と同じ円筒形をした紙製の缶 ) に変更したところ、月間 300 万 -400 万本のヒット商品になった。
はごろもフーズは、パスタソースのパッケージを湯煎用から電子レンジ用に変更した。今までの湯煎用のパッケージは、お湯を沸騰させる時間を含めると 10 分以上かかっていたが、袋のまま電子レンジで温められる新パッケージの製品なら 2 〜 3 分で出来上がる。調理の時間だけでなく、準備の時間も考えて、短時間に料理したいという消費者のニーズに応えようとしたものだ。
■消費者の購買心理を分析してパッケージを見直せ
他の製品と異なる色や形の商品パッケージを採用すると、目新しさでヒットを生むこともあるだろう。しかし、それだけでは息の長い支持は得られない。消費者の購買心理を分析し、人間工学や新素材を取り入れるなど、新たな発想でパッケージを見直すことが重要だ。売上が伸び悩んでいる商品があったら、パッケージデザインの変更や広告キャンペーンの実施を考えるだけでなく、原点に返って消費者ニーズを分析し、ニーズに合ったパッケージの形状や素材の選定を検討してみてはいかがだろうか。
( 2005 年 6月 富士通総研 田中秀樹)
≫プロフィール
|