プラスチック容器のふたにストローを刺して飲む、“チルドカップコーヒー”の売上が好調だ。中でもサントリーの「スターバックス・ディスカバリーズ」は、発売当初からニュース番組で取り上げられるなど話題となり、生産が追い付かないほどの人気商品となっている。
■風味を重視してスターバックスはチルドを選択
チルドカップコーヒーとは、その名の通りチルド ( 冷蔵 ) のコーヒー飲料だ。約7割がコンビニで販売され、店頭価格は 130 円から 170 円と缶コーヒーより若干高めに設定されている。市場規模はこの 5 年間で約 2 倍に拡大し、 2005 年は約 500 億円に達すると見込まれる。 8,000 億円を超える缶コーヒーには及ばないが、成長市場ということもあり、コンビニの店頭では、定番商品の森永乳業「マウントレーニア・カフェラッテ」などの乳飲料メーカーの商品だけでなく、「ドトールカフェ・オ・レ」、「タリーズコーヒー・フルシティ・ロースト・ラテ」などコーヒーチェーンの商品も並んでいる。持ち運びに便利で、おいしい、缶コーヒーよりおしゃれ…といった理由で女性の人気を集めている。
この競争が激しいチルドカップコーヒー市場に今年 9 月、サントリーが「スターバックス」ブランドの「スターバックス・ディスカバリーズ」を投入した。発売前は 210 円という高い価格設定が市場に受け入れられるか危惧する声もあったが、ふたを開けると発売した2種類のうち1種類の生産を休止せざるをえないほどの人気となり、来春には生産能力を2倍に引き上げることが決まっている。
スターバックス側の狙いは、店舗が無い場所でもスターバックスのコーヒーが味わえる、 RTD ( Ready To Drink )市場の開拓だ。ただ、品質・素材にこだわるスターバックス本来の味わいを再現するために、風味を損なう加熱処理を缶コーヒーほど必要としないチルド飲料で提供することを選び、マーケティングはサントリー、生産はタカナシ乳業に任せた。
■他製品との価格差はブランドか風味か
では、消費者の評価はどうだろうか。 " あのスターバックスの味わいがコンビニでも買える " となれば、スターバックスのブランド力だけで、他のチルドカップコーヒーより高くても試しに飲んでみようと思う人は多い。まして、実際に店頭で品切れになっている状態を目にすれば、より欲しくなって販売されていれば即座に購入してしまうだろう。しかしこれがトライアルではなくリピート需要かを判断するには、もう少し時間が必要だ。
ブランド力で瞬発力的な需要はあるだろうが、リピート需要を得るには結局のところ「味」が重要である。ネームバリューと同等いや、それ以上の質が求められているのだ。果たして「スターバックス・ディスカバリーズ」の人気は一過性なものなのか、チルドコーヒー市場のトップに躍り出るのか?今後も注目してみていきたい。
(2005 年 12 月 富士通総研 田中秀樹)
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