総務省で IT を使った“安心・安全な社会”実現に向けた調査研究が 2 月から始まっている。学識経験者を集めた研究会を発足し、食の安心・安全に向けた生産履歴情報などの技術動向や将来展望を検討する予定だ。この研究会ではどんなことが討議されているのだろうか。
■食の安全に関する消費者意識は高い
「食品の裏側」という書籍が話題になっている。食品添加物の元トップセールスマンが食品製造の舞台裏を描いたもので、食の生産や流通に漠然とした不安を抱く消費者の関心を集めているようだ。また、昨年 11 月におきた成型肉の問題は、業界では昔から使われていた食材にもかかわらず大きな問題となり、消費者に食の「偽装」イメージを抱かせる結果となった。
このような消費者意識の高まりを意識してか、総務省は「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」を設立した。研究会では、災害対策・危機管理WG、児童・高齢者や弱者などの市民生活支援WGに加えて、食の安心・安全WGの3つのワーキンググループが設置され、それぞれのテーマの検討に入っている。
食の安心・安全WGでは、東京海洋大学の日佐先生が「食の安心・安全における現状と課題について」という報告をしている。その中で、交通事故が 1 万人を超えるのに対し、平成元年から 10 年までの食中毒死亡者は年平均 7.6 名しかなく、リスクが低い「食」がなぜ注目されるのか、と問題提起して、食中毒よりリスクの低い発ガン性などの不確定リスクへの不安、鳥インフルエンザなど新しく発生するリスクへの不安、食の安全に関して感情的要素が強く科学的根拠が乏しい、などの消費者意識を説明した。
食の安全対策としては、例えば偽装表示には、トレーサビリティシステムの導入など消費者との目に見える関係の維持、科学的根拠に基づく調査・摘発、迅速な原因究明のための懲罰的賠償制度や司法取引の導入といった方向性を示している。さらに、 HACCP 導入、トレーサビリティ開始といった IT 化の流れを踏まえ、食品安全管理システムの全体像として、通常時、異常時、事故発生後の対応、の3ステップで必要になる管理項目を提示している。
■生産履歴情報表示の統一などを今後検討
WG では、ホームページで生産履歴情報を管理、開示するうえで、外部からの情報改ざんを防ぐためのセキュリティー対策や、企業や食品などによってばらつきのある生産履歴情報表示の統一、消費者の使い勝手を向上させるためのシステム整備などを今後検討し、 6 月に中間報告、 2007 年 3 月に最終報告をまとめる予定だ。
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