8万人の調査員が全国のレストランのサービスを日々評価して回る。これはある会社が行っている覆面調査「ミステリーショッパー」の姿だ。このミステリーショッパーの利用が外食チェーンのあいだで広がっている。
■アメリカでは 98 %の企業が使う消費者の声の収集方法
ミステリーショッパーとは、身分を隠した調査員が客として店舗に行き、料理やサービスを採点する調査手法だ。フランスのレストラン情報誌「ミシュラン・ガイド」が発祥といわれ、そこからアメリカに渡り店舗や企業の改善手法として確立した。アメリカでは、消費者関連企業の 98 %がミステリーショッパーを利用しているとされる。
日本でも、コンサルタントやプロの調査員が採点する形式のサービスは以前からあったが、数年前からインターネットで募集した一般の消費者が調査するモニター形式のサービスが登場し、急速に利用が拡大している。ミステリーショッパーを取り入れる企業は、日本マクドナルド、モスフードサービス、スターバックスコーヒージャパンなどのファーストフードだけでなく、コンビニのローソンや家電量販店にも広がっている。
チェーン展開する企業の店舗や接客の評価手段としては、指導員や顧客アンケートがあるが、本部の指導員は複数店舗を担当しているため各店を回れるのは 1 週間に 1 回程度であり、指導員が来たときだけ接客をしっかりすることも可能だ。また、店頭のアンケートは回答率が低い上に、コメントも少なく記載されるのはクレームが多い。
これに対し、ミステリーショッパーなら、店舗スタッフは誰が調査員か分からず普段のサービスを評価できる。調査結果は定型的なチェック項目に加えて、コメントが充実している。導入している企業もチェック項目を減らしてコメントの記載欄を増やしており、「スタッフとすれ違うときに立ち止まって笑顔で優先してくれた」、「熱いスープをそのまま置かれた」といった具体的な調査員の生の声を重視している。
■「あら探しの道具」ではなく「改善ツール」
覆面調査と聞くと、「あら探し」というマイナスのイメージを持つ人もいるだろう。実際、ミステリーショッパーを上手く使いこなせないのは、調査結果をネガティブにとらえてしまう組織だという。ミステリーショッパーは単に本部の評価ツールとして使うだけでなく、結果を店舗にフィードバックして、良い評価はスタッフの士気向上に、そして悪い評価はスタッフ全員で改善するための気付きの材料として活用すると効果的だ。
( 2007 年 3 月 富士通総研 田中秀樹)
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