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キーワード&データから解く 〜食品マーケティングの成功法則

第30回 
一人歩きを始めた“デパ地下”

TV番組や情報誌で取り上げられ、人気商品をセレクトした専門の書籍まで出版されている“デパ地下”。デパ地下グルメという言葉が定着するほど人気だ。このデパ地下が、デパートを抜け出して一人歩きを始めた。

■大丸と高島屋が“デパ地下”特化店舗を展開

デパ地下とは、デパートの地下の食品売場を略したもので、デパ地下で集めた顧客を上層階へ送客する“噴水効果”を狙い、各社が2000年頃から有名店の出店やスイーツの品揃えを強化したため人気を集めるようになった。デパート全体の売上は低迷しているものの、食料品販売の売上高に占める比率は2002年の23.8%から2006年には24.4%に伸びており、デパートの顔ともいえる婦人服販売と並ぶ規模になった。このデパ地下が新たな展開を見せ始めた。

大丸はデパ地下店舗だけを集めてショッピングセンター「ららぽーと横浜店」に出店した。その「大丸フードマーケット」は、約3,800平方メートルの売場を市場、デリカ、スイーツ、ベーカリーの4つのゾーンに分け、「RF1」、「ドンク」など82ブランドのショップを展開している。ショッピングセンター内にはイトーヨーカ堂も出店しているが、デパ地下の強みを活かした高級食料品でスーパーと差別化を図っている。

デパ地下特化店舗を出したのは大丸だけではない。3月12日にオープンした「流山おおたかの森ショッピングセンター」の目玉は、高島屋初の食料品専門店「タカシマヤ フードメゾン」だ。このショッピングセンターにも食品スーパー「食品館イトーヨーカドー」があるが、タカシマヤは「あなたの街にデパ地下を」をコンセプトとして、百貨店で人気の「フォション」をはじめ「RF1」などのテナントの力でスーパーとの違いを打ち出している。

実際、デパ地下の競争力は強い。阪急百貨店がショッピングセンターに出店した堺北花田阪急は、専門店との差別化が難しかった衣料品の売上が伸び悩んだのに対し、高級感を売り物にした食品フロアは、ジャスコや専門店との差別化に成功し、ジャスコに匹敵する売上規模になっているという。

■エキナカやデパ地下と同じ惣菜店をテナントとした食品スーパーとの競争

ただ、一見順調に見えるデパ地下にも課題はありそうだ。今までは、たまにしか行かない人も多いので値段が高くても利用されてきたが、身近な街で頻繁に利用されるようになると単に高級なだけでは駄目で、品質と価格のお得感を問われるようになる。また、高級食品を展開できるブランドが限られているため、テナントの同質化という問題もある。実際、エキナカや食品スーパーにデパ地下と同じような惣菜店が入り始め、影響で売上が落ちたデパ地下もある。

高級ブランドさえ取り揃えておけば人気が出る期間は限られている。まだメジャーになってない地元の名品の発掘、テナントへの企画提案や独自商品の開発を行って売場を進化させることで、消費者の期待感を越え続けることがデパ地下の成長の鍵となる。

( 2007 年 5 月 富士通総研 田中秀樹)
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