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キーワード&データから解く 〜食品マーケティングの成功法則

第32回 
製造工程の“見える化”で価値を高める

ニューヨークで人気のレストラン「ユニオン・スクエア・カフェ」が、日本で初めての姉妹店「ユニオン・スクエア・トウキョウ」を東京ミッドタウンにオープンした。料理の味もさることながら、オープンキッチンで華麗な技を繰り広げるシェフの姿も人気を集める秘訣だ。このように作る過程を積極的に見せてビジネスに生かす企業が増えてきた。

■ファーストフードや食品メーカーも製造工程を積極的に公開
ショッピングセンターのフードコートなどに出店する釜揚げ讃岐うどんの「丸亀製麺」は、製麺という名の通り、その場で麺を作ることを売り物としたセルフうどん店だ。店内には製麺機が設置され、お客様の目の前で打ち立ての麺が茹でられる。麺だけでなく、おかずの天ぷらや、おにぎりも手作りで、フードコートに出店する他のテナントの倍近い店員がテキパキと仕事をこなす。この製造工程の臨場感が人気となり、集客力の高さから数多くのフードコートに出店するようになった。

昨年12月にオープンした人気のファーストフード「クリスピー・クリーム・ドーナツ」では、ガラス張りの店舗の外からドーナツの製造工程が見えるようになっている。綺麗に並んだドーナツがベルトコンベヤーで運ばれ溶かした砂糖でコーティング。ひっくり返され裏側にもコーティング、という様子は大人が見ていても飽きない。店舗に入る待ち行列のちょうど目の前で作られているので、待つ時間が苦にならないだけでなく、揚げたてのドーナツへの期待感を高める効果も大きいだろう。一つ150円からという価格設定もあり、ちょっとしたお土産として購入する人が多く、製造工程の話と一緒に作りたてのイメージが届けられるに違いない。

製造工程の公開は、飲食店だけでなく食品メーカーでも効果を上げている。焼肉のタレなどを製造している日本食研は、CMで有名になったKO宮殿工場を一般に公開している。消費者に見せることを意識して新工場には総工費85億円をかけた。オーストリアに現存するベルベデーレ宮殿をモチーフとした壮麗な建物の中には最新鋭の生産ラインが設置され、さらに宮殿食文化博物館や世界食文化博物館を併設したので、見学者は製造工程だけでなく世界の食文化にも触れることができる。

■製造工程の見える化の3つの効果
今まで隠していたバックヤードを「見える化」することには3つの効果がある。まず、消費者に安心感や信頼感を与えることができる。どうやって作られているか分からない工場製の麺より、目の前で作られている麺の方が安心感は高いだろう。同時に、バックヤードを積極的に見せる自信が消費者に信頼感を与える。次に、調理人の技術や普段見慣れない製造工程は一種のエンターテインメントにもなる。ディズニーランドのように待ち時間を飽きさせない工夫として使える。最後に裏方に光を当てる効果も見逃せない。興味深く目を輝かせて見ているお客様を前にすれば、従業員のモチベーションはおのずと高まってくる。

( 2007 年 7 月 富士通総研 田中秀樹)
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